ふたりの娘がガラスの靴を履こうとしましたが、脚が大きすぎたため踵が入りません。
誰もがあきらめかけたとき、部屋の片隅でこちらを見つめる少女の人影がうつりました。
まだ娘がいたとは、と従者は母に問いただし、手招きをしました。
薄汚れた服を着た少女の、その瞳を見て王子はひどく懐かしいものを感じました。
「さあこちらへ」
少女は、静かに歩いて行きました。
そして王子はその少女の小さな脚に輝くガラスの靴を履かせました。
靴はあつらえたかのようにぴったりとあいました。
「やはり、あなたはあの夜の愛しい方ですね」
*王子が履かせてくれるガラスの靴は汚れない心の象徴。 この方の描く光景は想像をふくらませてくれます。
少女は王子とともに城へいくことになりました。