そこには豪奢なベッドに横たわりこんこんと眠り続ける女性がいました。
豊かな長い髪に真珠色の膚をしており、今まで見てきた誰よりも高貴で、やわらかな寝息をたてて眠っています。
王子はたちまち姫に恋をし、かたわらによりそうようにしずかな口づけをしました。
姫はゆっくりと瞼をあけ、頬が薔薇色に色づきました。
「美しい人。ご無事で何よりです」
王子がいたわるように声をかけると姫は不思議そうな御顔をしたあと、ゆるやかに微笑みをかわしました。
そしてゆっくりと立ち上がろうとするので、王子は跪き華奢な身体を支えました。
その手をとりたがいに見つめ合いながら姫は優しい声音でささやきました。
「ずうっと昔から、あなたを知っていた気持がします。わたしはようやく会いたい人に逢えたのですね」
*目覚めた姫も迎えにきた王子もうるわしく魅力的。このうえなく御似合いな恋人たち。 ふたりともとっても幸せそうな表情で、物語の世界に引き込まれてしまいます。
いつのかにか城を覆っていた茨の蔓はきえ、かわりに甘やかな薔薇が咲き誇り、姫と王子を取り囲むように美しく彩りました。